僕は窓の外をのぞきこんだ。
ゆっくりとプロペラが回り始め、次第に回転数を上げていく。
僕の気持を取り残して、機体は滑走路へと動きだした。
ぼんやり遠くに目をやると、屋久の山々は傾きかけた陽に照らされ、
燃えるような緑からやさしくつつみこむような赤へとかわり始めていた。
いつかまた。
素直にそう思った。
いつかはいつかであり結局はいつでもない。
だから、すぐ動かなきゃ一生願いは届かない。
旅の前、僕はそう思っていた。
でも、今は少しだけ別の見方もできる気がする。
いつかというその想いはいつも心の中に持つことができる。
運命とか定めとかいう言葉があるけど、すべてはその想いの中にあって、
導くのは自分自身なのかもしれない。
想いを持っていれば、必ずその時は来る。
ゆっくり時間を掛けて、流れに逆らうことなく、願いや希望、夢や理想に近づいていく。
数千年をその場所で生き抜き、時間を超越したあの屋久杉は何を想うのだろう。
深く年輪を重ねた幹と同じように強くどこまでも深い想いを感じずにはいられない。
人間として生まれ、人間として生きる僕には到底理解できないのかもしれない。
でも、あの時感じた緩やかな流れと強い意志は僕の芯を揺さぶっている。
見下ろすと大海原の彼方まで光の道つながっている。
取り残された僕の心は、この光の道が消える頃戻ってくるだろう。
それまでもうしばらく、このままで・・・。