五月最終日未明。
夏を待ちきれず北上してきた台風4号は、九州南端を通過。
依然、強風域を広げながら四国へと上陸しようとしていた・・・。
ピピピッ ピピピッ
遠くで電子音が鳴っている。
手を音の方へ伸ばすと、それがあまり遠くないことに気付いた。
手探りでまさぐり、そいつを止め、重い目をこする。
暗い。
このまままたまぶたを落とそうか。
いや、今日、僕には目的がある。
4:35と表示された目覚まし時計のアラームをOFFにして、
布団を勢いで剥ぎ取った。
少しの衣類と雨具、そして、カメラを詰め込んだ
cliveのバックパックを背負い羽田に向かった。
昨日の最終便は欠航している。
僕らの乗る便は8:00発。
台風4号は瀬戸内海に向かっている。
無事運行するのだろうか?
ジェット機は飛んだとしても乗り継ぎの小型飛行機は?
僕のできることは天に祈ることだけだった。
飛ぶまで待つ。
祈りが届く事への希望は捨てていなかったが、
無意識の内に、飛ばなかった時の心構えをしていた・・・。
いつかそこへ行くことを心に決めながら、
これまで具体的に行動をしないできた。
いつかはいつかであり、結局はいつでもない。
夢見て期待して眺めてたって何も起こらない。
そう思い今回の旅の用意をしてきた。
でも、自分の力の及ばないどうにもならない事もある。
どうにもならない事で気を擦り減らしてもしょうがないけど、
思い入れの強さに比例して、客観的にものが見れなくなる。
諦めるか、待つか、別のやり方を考えるか。
選択肢は3つ。
あきらめるなんてできなかったし、別のやり方も無いように思えた。
祈って待つ。
客観的に見て、何一つ状況を打開することのないその行動に
僕は全身全霊をかけた。
空港。
運行見合わせのアナウンスが聞こえる。
やっぱり・・・。
祈って待つと心を固くしていたが、それを打ち崩すかのように
あきらめの気持が込み上げてきた。
僕は耐え切れず出発便の電光掲示板へ急いだ。
「搭乗手続き中」
旅は始まった。